アルコールと神経障害(1)
- #脳神経内科
節度をもってアルコールをたしなむことはよい事ですが、長期間の過剰飲酒ではさまざまな神経障害を生じます。代表的な病気として脚気があります。脚気は過去の病気と思われがちですが、今でも慢性アルコール中毒や偏食などを原因として発症しております。脚気の原因はビタミンB1欠乏です。慢性アルコール中毒の場合、きちんと食事を取らないことが多く、また摂食していても小腸でのビタミンB1吸収が悪くなっており、体内のビタミンB1が欠乏してしまいます。下肢の筋力低下と感覚異常、膝蓋腱反射の消失を生じ、上肢にも症状が及びます。顔面神経麻痺を生じることもあります。衝心脚気といって心不全を合併し、生命に危険が及ぶこともあります。早期に診断し、ビタミンB1を投与することで症状は改善しますが、後遺症として運動障害が何年も続くこともあります。再発を予防するためには、断酒と規則正しい食生活を送ることが必要です。